ステテコと銭湯

今回 14ssのビジュアルの撮影をさせていただいた東京都大田区の銭湯、明神湯さん。

2014 Spring&Summer Collection リーフレットのテーマでもある「色あせない、古き良き時間」の詰まった空間でした。

ステテコと銭湯、まるで違いますが、江戸時代に端を発し、それからずっと人々の生活に寄り添ってきた似た者同士でもあります。どちらも、かつては人々の生活になくてはならないものでした。今でも忘れかけていた何かを想い出させてくれる大切な場所です。

そんな銭湯を今も守ってらっしゃる、明神湯さんをご紹介いたします。

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明神湯のおかみさん、ニコニコと温かく番台から私たちの撮影を見守って下さいました。

時には番台から降りて、お湯を持ってきて下さったり、物をどかして下さったり。「あらあら、靴下濡れちゃったわね、このタオル使って」と、タオルを貸して下さったり。

営業時間中にも温かく番台からお客さんを見守り、忙しく動き回っている様子が目に浮かびます。

「お客様は裸だから、せめて心は裸にするように心がけてるの。」

そんな言葉のとおり、ずっと番台からお客様を見守ってきたそうです。

「今では銭湯は珍しいから、お子さんがお風呂行こうって親御さんの手を引い来てくれたりするんですよ。嬉しいですよね。今の時代って、核家族で頼る人の少ない中頑張ってる方が多いから、大変でしょう。たまにはこうゆう所に来て、そしたら周りの人が見守ってくれたり、ちょっと世間話したりして気が休まったりするから、少しでも肩の力を抜いて帰って欲しいなって思うんです。一人暮らしのおじいちゃんが心配だから気にしててって声をかけてくれたり、生活のお手伝いができると嬉しく思います。珍しさからか若い人も来てくれるのも嬉しいんです。」

そんな思いからか、子供が一緒に入浴する事の多い女湯には大きくゆったりしたソファに絵本、目に鮮やかな金魚が泳いでいます。テレビの棚は、裸になるのが少しでも恥ずかしくないようにとの心配りでご主人が作られたそうです。

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今では珍しい、お釜ドライヤーもあります。ワクワクしますね。

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男湯にはビールの似合う縁側が。夏はたまりません。(このビールは撮影のために持ち込んだ物ですが、ビールも販売していますよ。)

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「古い建物だけど、汚くないように主人もとても気にしていて、営業が終わったらすぐにお掃除をするんですよ」と教えて下さった通り、どこもかしこもピカピカでとても気持ちのよい空間です。

ずっと生活を見守ってきた明神湯さんですが、厳しい現実もあるそうです。

「タイルが壊れてしまっても、もう同じ物は売っていないんです。うちのタイルも一生懸命探してきてもらって、四国から取り寄せたの。それでも色が違うんですよ。建物も古くなるし、設備も古くなって、同じように修理するのは難しいんです。私たちも年をとるし、継ぐ人がいても、莫大な費用のかかる修理をして続けていくのは難しい。だから廃業されるところもとても多いんです。絵師さんももう2人しかいないんですよ。」

 

今、銭湯は急激に数が減っています。守り続けたい日本の伝統ですが、残念ながら時代の流れには逆らえないのも現実です。

それでも、「ステテコと、銭湯、古い物同士がんばりましょうね!」とお話しました。

 

それでは、お待ちかね、銭湯と言えば!の富士山もご紹介します。

男湯には二つの富士山があります。

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女湯からは富士山は小さいかわりにおしゃれなアルプスが見られますよ。

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色々なところに、ご主人がお好きだというフクロウがいて、こちらもとても可愛いです。

ぜひ探してみて下さいね。

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今年の夏は、「銭湯で汗を流してステテコで夕涼み」なんて乙な楽しみ方はいかがでしょうか。

守り続けたい、いや、むしろこれから攻めていきたい日本の伝統、銭湯とステテコで皆さまの心も身体も心地良くなりますように。

 

明神湯

Address:東京都大田区南雪谷5-14-7

Tel:03-3729-2526

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