わた入れはんてん・後編(月刊ステテコ 11月号)

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©Ryu Itadani
©Ryu Itadani

今月の絵 「HANTEN」  by Ryu Itadani

わた入れはんてん・後編

前回ご紹介した2014年から宮田織物さん(福岡県筑後市)とコラボさせていただき展開している「わた入れはんてん」。改めて、わた入れはんてんに対する疑問をお聞きするべく、宮田織物株式会社の平野さんにお話しを伺いました。

本日はありがとうございます。早速ですが、半纏のことで質問させていただきます。まずは、この「わた入れはんてん」というアイテムですが、歴史的なルーツとしてはどういうアイテムなのでしょうか?
ステテコ
ステテコ
平野さん(以下  平野)
平野さん(以下 平野)
あくまで「聞いている話としては」というところでの回答となりますが、どれぐらい昔の話なのか分かりませんが、お城などで身分もとても高く豊かな生活をされていた人たちが、冬の寒い季節に、ワタを入れた着物を着ていたのがルーツになっていると聞いています。
当時は超高級品だったということでしょうか?
ステテコ
ステテコ
平野
平野
はい。当時、綿花自体が世間に大量に出回っていた訳では無く、大変貴重で高級な物だったようです。それが、江戸時代の後半あたりになり、少しずつ綿花や綿織物の流通などと共に世間に少しずつ広まったようです。
なるほどぉ
ステテコ
ステテコ
平野
平野
織物を作る織機も着物幅の小幅から、広幅の織機が多くなり生地の生産量が格段に増えたことで、布帛の商品が大量に出回るようになっていきます。そういう流れの中でわた入れはんてんもどんどん普及していったと考えられます。
ちなみに宮田織物さんは創業1913年(大正2年)で当初は小幅の久留米絣の生産が中心だったとお聞きしておりますが、どういう流れで わた入れはんてんを作ることとなっていったのでしょうか?
ステテコ
ステテコ
平野
平野
1958年には、広幅の織機を導入して割烹着や作業着など作っていたようです。その後、現会長の宮田智(みやたさとる)が商店街を歩いていた際に、店先にかかるわた入れはんてんを見かけ、これなら宮田織物で作れると思い作り始めたと聞いております。
それが主力商品に育っていったわけですね。
ステテコ
ステテコ
平野
平野
はい。きっかけの一つとしてはその後、1970年代から80年代はじめにかけて起きたオイルショップで、暖房費の節約アイテムとして、わた入れはんてんが脚光を浴び、大変多く流通していくこととなったんです。
オイルショックが、わた入れはんてんの普及に一役買っていたんですね!ところで、宮田織物さんは生地づくりも自社で生産して縫製も自社で行っていますがそれは昔からなんですか?
ステテコ
ステテコ

わた入れ工程

平野
平野
そうですね。生地のデザインだったらデザイン会社だったり、織物にしたって、タテ糸を準備する会社があって、と分業するのが一般的だと思いますけど、宮田織物に関しては生地のデザイン・はんてんの形のデザイン、というところから生地作り・わた入れ・縫製といった生産にいたるまで全て自社でやっていますね。

わた入れはんてんの手縫い工程

平野さんが感じていらっしゃるここ数年でのはんてんを取り巻く環境の変化とかありますか?
ステテコ
ステテコ
平野
平野
私も宮田織物に入社する以前に思っていたイメージとしてはコタツとか、ミカンとかと一緒に「冬にほっこりするもの」と思ってました。でも、宮田織物にはいってから感じたのは若い方達、昔ながらのハンテンを知らない方達にとっては新しいファッションアイテム、新しいライフスタイルのアイテムとして捉えていただけるなと感じています。
逆に新しいというやつですね。
ステテコ
ステテコ
平野
平野
はい。「これ、家の中で着るだけではもったいないよね」と若い人がおっしゃることが多くて。
今回、ちぢみの生地でハンテンをつくっていただきましたがあがってきたものをみて、感触としてはいかがでしたか?
ステテコ
ステテコ
平野
平野
試作する前から、うなぎの寝床さんとかでステテコドットコムのちぢみの生地はみたことがあったので面白いものができるだろうなとは思いましたね。
どういう点でですか?
ステテコ
ステテコ
平野
平野
ちぢみ生地が軽さがあったのであの軽さで半纏をつくると柔らかくて軽いはんてんが出来るんじゃないかなというのは話を聞いたときから思いまして。実際、いい感じにちぢみの生地の柔らかさが出た半纏ができたと思いますね。

 

表側にちぢみ生地を使用した わた入れはんてん

最後に、ステテコユーザーの皆様に何かメッセージを是非お願いします!
ステテコ
ステテコ
平野
平野
そうですね。ステテコドットコムさんのちぢみ生地というのも着心地のいい素材ですので、あえて半纏に使って、また今までにない新しい わた入れはんてんができたなと思います。また、プリントの楽しさであったり、ちぢみの生地の柔らかさであったりというのをわた入れはんてんを着ていただくことで感じてゆっくりして頂けたらなぁと思いますね。
本日は貴重なお話ありがとうございました!
ステテコ
ステテコ

ご紹介したちぢみのわた入れはんてんはsteteco.com onlineshopにて販売中です!

 

 

 

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