「ロマンティック農園 長達也さん」
はたらくステテコ その3
写真・文 加瀬健太郎
今日は、大阪府の南河内郡にある「ロマンティック農園」さんに来たぞ。椎茸の収穫が見れるんだって。たのしみだなぁ。あっ、長さん、おはようございます。今日はよろしくお願いします。
ケン
長さん（以下 長）
ケンちゃん、おはよう。
いきなりなんですが、ロマンティック農園って何がロマンティックなの？
ケン
長
僕はみんなの食卓がロマンティックになればいいなってつけたんだ。いいでしょ？
ロマンティックなネーミングだね。おいしい椎茸の見分け方とかってありますか？
ケン
長
横から見て分厚い。肉厚なやつ。椎茸の軸がきれいな、白いやつを選んでもらったら、新鮮でジューシーでいいお出汁が出るので、そういうのを選ぶようにしてください。
長さんの体もムキムキの肉厚で、おいしい椎茸みたいだね。椎茸農家やってたら、みんなそんな体になれるの？
ケン
長
そうそう、椎茸いっぱい食べて畑仕事してたら、こんな感じになるよ。
椎茸パワーってすごいんだね！長さんは葡萄も作ってるんですよね？
ケン
長
そうそう、６月からお盆まではぶどうで、ぶどうが終わると椎茸、椎茸が終わるとぶどうがはじまるんだよ。
上手いことなってるね。どっちの方が楽しいとかありますか？
ケン
長
いや～、どっちも楽しいかな～。
あれっ、長さん嘘ついた顔になってたよ。大人はすぐ嘘つくんだから。
ケン
長
作ったものが、みんなの食卓で美味しく食べられてると思うと、農家やっててよかったなっておもうよ。
なんか、もっと嘘っぽくなってきたぞ。これぐらいにしておこう。ねえねえ、ぶどうとか椎茸で製品も作ってるんでしょ？
ケン
長
ぶどうでジャムを作ったり、干し葡萄にしたり。しいたけは佃煮にしたり、干し椎茸や粉にして椎茸パウダー作ったりしてるよ。
他に開発中のものはありますか？
ケン
長
この辺のトマト農家さんで、キズの入った売り物にならない捨てられるようなトマトを譲ってもらって、トマトソースを作ったりしてるんだ。家の車庫を加工場にしてて、これが面白くって。
すごーい。食物リサイクルってやつだな。
ケン
長
ケンちゃんむずかしい言葉知ってるね。そうそう、SDGsとか言うらしく、仕事先の人にイメージいいから続けた方がいいよって言われたんだよ。
しらんとやっとったんかーい！
ケン
僕は思った。大阪に行くと、忘れてたはずの僕の中の大阪人の血が疼いて思わず「ツッコミ」してしまった。
椎茸って木に出来るのかと思ってたけど、棚に並んでて本屋さんみたいだった。ちっちゃい椎茸かわいかったなぁ。それにSDGsって声高に言わなくても、知らない間にやっちゃってる長さんって、カッコいい。本当の意味で真っ当な考えを持ってるってことだよ。経済経済に走り過ぎた世界もちゃんと地に足つけて考え直すべき時に来てるってことかな。なんちゃって。グレタさんに椎茸パウダー送ってあげたくなったよ。それはさておき、僕、本当は長さんの言ってた「食卓がロマンティック」って、一体どういう意味かわかんなかったんだ。「ロマンティックあげるよ」って歌があるけど、あれは椎茸をあげるよっていう意味なのかな？よく分かんないや。椎茸食べながら考えようっと。
おしまい。
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