季節を問わず、身の回りにはたくさんの種類の「素材」がありますが、衣服に使われる天然の素材でこれほど「すごい」ものは他にないのではないか? と思わせてくれるのが「メリノウール」です。ステテコドットコムでも今年から発売となった「ラクダインナー」のメイン素材として使用されており、世界的にもウールを代表する高品質の品種です。でもいったい何がそんなに「すごい」のでしょうか? 今回は少しだけ、詳しく見てみることにしましょう。
1. 保温性 — ちぢれて絡まる天然バリアー
細くちぢれたメリノウールの繊維(“クリンプ”というかわいい呼称)は、わしゃわしゃとお互い絡み合うことで一定の温度を持った空気の層をつくります。つまりラクダインナーを着ることで、あたたかい体温と冷たい外気の間に空気層(バリアー)がつくられて、体温の熱が外に逃げるのを防いでくれるのです。
2. 吸湿性 — 放っておけない「冷え」
寒い中で運動をして汗をかいて、しばらく放っておいたら体を冷やしてしまったという経験はありませんか? それは「汗冷え」という現象で、登山などでそのままにしておくと低体温症を招き、身体のパフォーマンスが低下してとても危険な状況になることもあるので、注意が必要です。体温調節のためには体を濡らさないことが大切。すばやく汗を吸収して皮膚を乾いた状態に保とうとしてくれるメリノウールは、その理由からもアウトドアで人気なのです。
3. 水分処理 — おどろきの役割分担
どういう進化を辿ってそうなったの!? というくらいすごい機能。細かいウロコ状の外皮に覆われた極細繊維のメリノウールは、水分を「吸う」内側と、水を「弾く」外皮(キューティクル)という、ちょっと矛盾したような関係でできていますが、汗をかいたり蒸れたりすると外皮が開いて、内側が水分を吸い込みやすい状態になるのだそう。直接肌に触れるのは水を弾く外皮の方ですから、そのおかげでさらりとした着心地が保たれているのですね。
4. 抗菌·防臭性 — ニオワナイラクダ
もともと、ひつじの生命と健康を守るために備わっている免疫作用のおかげで、バクテリアの繁殖を抑えて抗菌·防臭にすぐれているメリノウール繊維。はげしい運動をしなくとも、着ているだけで日常生活でかく汗の湿度調整もしてくれるという、全自動感あふれる天然繊維なのです。ちなみに繊維が細いメリノウールは直接肌にあたってもチクチクはあまり感じません。
5. 伸縮性 — 長所と長所
メリノウール繊維のちぢれ(クリンプ)自体がしなやかな伸縮性を持つ上、さらにその糸をニット編みにしているので、とても動きやすい。体の曲げ伸ばしはもちろん、もっと複雑な動きをする手袋やソックスの素材としても優秀なのです。
というように、すごい能力だらけのメリノウールですが「完璧」ではありません。やはり天然繊維ですので、着用時はもちろん、お洗濯や収納時にも使う側からの“ちょっとしたやさしさ”が必要です。健やかな日々を、どうか末長くご愛用ください。